2020年07月の税務ニュース
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新型コロナウィルス感染症に関連した損失等の取り扱い
事業により生じた損失等については青色申告をしている中小企業者等に該当するなど一定の場合に欠損金(赤字)の繰越控除や繰戻還付が認められています。しかし、今回の新型コロナウィルス感染症に関連した「事業用の一定の損失等」については「災害により生じた損失等」に該当することとなり、白色申告であっても、また中小企業者等以外の一定の法人であっても欠損金の繰越控除や繰戻還付の対象となります。この制度について簡単に説明したいと思います。
【災害により生じた損失等に該当する例】
(1)飲食業者等の食材(棚卸資産)の廃棄損
(2)感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品等の除却損
(3)施設や備品などを消毒するために支出した費用
(4)感染発生の防止のため、配備するマスク、消毒液、空気洗浄機等の購入費用
(5)イベント等の中止により、廃棄せざるを得なくなった商品等の廃棄損
【災害により生じた損失等に該当しない例】
(1)客足が減少したことによる売上げ減少額
(2)休業期間中に支払う人件費
(3)イベント等の中止により支払うキャンセル料、会場借上料、備品レンタル料など
繰越控除とは
事業等により赤字となった年の翌年以降(個人事業者は3年間、法人は10年間)の各年度の黒字からその赤字を控除して税金を計算することが出来る制度です(中小法人等以外の控除額は赤字の50%に制限されています)。
繰戻還付とは
事業等により赤字となった年度の前年が黒字であった場合に、その赤字を前年の黒字と相殺して前年に支払った税金の一部または全部を還付してもらう制度です。
*これらの制度は毎年(法人は各事業年度)について連続して確定申告書を提出していることなど一定の要件に該当する必要があります。